かつて、ものすごく節約をしていた時期がありました。
家庭の事情で、自分のお給料のほとんどを親や親戚に貸していたからです(断るという選択肢を知らなかった)。
「こんなに働いているのに、しかも節制しているのに、自分の手元に全然お金が残らない」というむなしさ。
苦しいだけで何も残らなかった。
その経験を通じて「働くことがバカらしい」とまで思うようになってしまいました。
当時の経験から「なんでもかんでも我慢する、というスタイルは自分には合わない。ある程度のお金を使わないと人生が行き詰まる」と理解したので、それ以降は財布のひもを少し緩めることにしました。
現在は、本当に欲しいものは買うし、健康維持のための医薬品も買うし、行きたいところにも行くようになったし、住みたい部屋にも住んでいる状況です。
節約の敵と称されるカフェにもしょっちゅう行く。
おや……。
むしろ最近は、財布のヒモを緩めすぎではあるまいか?
急に背中が寒くなってきたので、こちらの本を読みました。
菅原道仁『頭の中の貧乏神を追い出す方法 世界一役に立つお金の授業』KADOKAWA(2019)Kindle版
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どんな本?
本来の脳の特性からすると、「放っておくと浪費する」そうです(本書ではこれをビンボー脳と呼ぶ)。
標準装備のビンボー脳からリッチ脳(自然とお金が増える癖をもつ脳)になるにはどうしたらいいか、ということを、脳の特性から解説している本です。
著者は脳神経外科のお医者さん。
ちなみに私、もう十年以上前になりますが、この著者(菅原先生)に実際に診察してもらったことがあるのです。
当時ひどい頭痛に悩まされていて、近くの脳神経外科に行ったところ、たまたま担当してくださったのが菅原先生でした。
一度診察していただいただけですが、どうして今でも覚えているかというと、「こんなにイケメン(当時おそらく30代、某俳優さんに似ておられた)でしかも脳神経外科のお医者さん、さぞかしおモテになるのだろうなぁ。天は二物を与えるのだなあ」なんてことを思ったからです(汗)。
わりと近所のクリニックなので、通っている人も身近にいて「先生誰だった?」なんて会話もしたので、お名前も記憶に残っていました。
ちょっと話がずれましたが、診ていただいたことのある先生の本となると、勝手に親しみを覚えます。
よかったところ
お金を貯めるには
①浪費を減らす
②収入を増やす
の二つの軸がありますよね。
本書前半では、①浪費を減らす、という観点で書かれています。
衝動買いをしやすい状況が11パターンほど挙げられているのですが、脳の持つ性質から考えると「あー、そりゃ仕方ないかもな」とも思えてきて、納得がいきました。
なんでもかんでも我慢、ではない
私が一番納得したのは、「頑張ったあとは我慢できない」ということ。
例えば、仕事帰りのショッピングでは「今日は仕事頑張ったからいいか」とつい購入してしまう。
あるいは、普段から無理な節約をしていると、あるとき「今日はいいか」と財布のヒモを大解放してしまう、と。
ああ、私、まさにこの例ですね。
私の場合、激しい節約(というかただの我慢)を続けた結果、現在の「少しくらい財布のヒモを緩めてもいいか」があるわけで。
つまり「なんでもかんでも我慢」は、そのときは浪費を抑えられたように見えるかもしれないけど、長期的にみると効果的でないのですよね。
著者も「とにかく我慢」というわけではなくて、浪費かどうかを問うクセをつけることが大事、と述べていました。
「すべて我慢」ではなくて、「本当に欲しいもの・ことには使う、そのために無駄なところには使わない」ということですね。
本書では、この「無駄なところに使わない」具体的な方法も書かれています。
脳の特性を利用して「衝動買いを抑える」アクションもあれば、「固定費を見直す」「還元率の高いクレジットカードをつくる」といった、現実的な(ファイナンシャルプランナーが提案しがちな)手法も紹介されていました。
読んだ内容を実践してこそ、本は威力を発揮しますから、早速私も「固定費を見直す」を実施しました(ベタですが)。
電気とガスの契約を一本化して、少し安くなるプランにしました。
脳力をアップして収入もアップするには
さて、浪費はある程度抑えることができるようになった。
となれば収入アップの話です。
本書後半では、脳力をアップさせて、収入もアップさせよう、ということが書かれています。
具体的にどうしたらいいかというと
脳力を上げるには、あなたが知っていること、得意なことを「出力=アウトプット」すればいいんです。
菅原道仁『頭の中の貧乏神を追い出す方法 世界一役に立つお金の授業』KADOKAWA(2019)Kindle版 位置No.1383
インプットに比べ、アウトプットは自発的に行う必要があるのでめんどくさい。
だからこそ、脳が活発に働く→脳力アップというわけです。
アウトプットしてさらに「発信」することで、人とつながり、その関係性によって「活躍の場」が与えられ、最終的に収入アップにもつながる可能性がある、とのこと。
私も知人との何気ない雑談がきっかけで、仕事をいただいたことがあるので、「発信→人とつながる→活躍の場」は侮れないと思います(まあ、そう頻繁にあるわけでもないので、焦りは禁物ですが)
ただしこのアウトプット&発信、注意点が。
発信すべきは、「それを受け取った相手が、得をするかどうか」。
相手が喜んでくれるかどうかが、すべてだと思っています。
菅原道仁『頭の中の貧乏神を追い出す方法 世界一役に立つお金の授業』KADOKAWA(2019)Kindle版 位置No.1446
これもいろんなところで言われることですが、一理ありますよね。
身近な例で考えると、自分のことばかりマシンガンのようにしゃべる(アウトプットする)人はあまり歓迎されない傾向がありますしね。
求めてもいないアドバイスをしてくる人も面倒がられますしね。
まさしく、「相手(受け手)が喜ぶかどうか」の一言に尽きそうです。
なお、収入や貯金を増やしたいあまり、お金のことばかり考えるのはNGだそうです。
なぜかというと、他人を寄せつけなくなるから。
人との縁がつながらない→活躍の場も与えられにくい。
脳的にもよくないそう。
多くの相手と接してたくさんの刺激を受けたほうが、脳が発達するということです。
菅原道仁『頭の中の貧乏神を追い出す方法 世界一役に立つお金の授業』KADOKAWA(2019)Kindle版 位置No.1491
これも理解できます。
人と接すると、自分の枠が広がるのを実感することがありますから。
ただ、「多くの相手」の内訳にも注意が必要ではないかと個人的には思いました。
あくまで私の経験上ですが、知らず知らずのうちに(親あるいは自分と)似たタイプの人が寄ってきてしまい、結果的に「似たタイプの多くの相手」と接していた気がするからです。
それが良い方向にいけば問題ないでしょうが、いつも「利用されている感」に陥るのであれば、(自分の問題が解決しないうちは)孤独であるほうが状況を悪化させずに済む場合もある、と思ったりします。
(※健全に育った人は気にする必要はないです)
ちょっと逸れましたが、収入アップのカギは「他人のためになるような情報を発信せよ」ということでした。
お金は「手段」にすぎない
そもそも、なぜお金が欲しいか、というと「自分の望む人生を生きたいから」ですよね。
ということはつまり、「自分が何を望んでいるのか」を正確に把握することが大事。
正確に把握できれば、具体的にいくら必要なのか等もある程度の予想がつきますから、焦ったり不安になったりすることも避けられます。
(本書では「自分の望む人生」をあぶり出すワークも載っています)
どう生きたいか、を具体的に考える。
そのために貯める、使う。
というわけですね。
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おわりに
無理な節約→その反動で財布のヒモ緩めすぎていた私。
本書を読んで久々に気が引き締まりました。
無駄な浪費も増えていたので、また少し気をつけるモードにしようと思います。
ただし、「なんでもかんでも我慢」でなく。
本当に欲しいものや体験したいことを見極めつつ、が今後の課題となりそうです。