20年前??に話題になった『チーズはどこへ消えた?』。
2回くらい読んだはずなのですが、内容を全く覚えておらず……。
Kindle Unlimitedで発見したので、改めて読んでみました。
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どんな本?
ひとことで言うと、ネズミ二匹と小人二人がチーズを求めて迷路をさまよう物語。
(その前後に物語を読んだ人々のディスカッションがある)
本書でいうところのチーズは「手に入れば幸せになれると信じているもの」。
あるいは「死活を制するもの」。
それが具体的に何であるかは人によって異なるでしょうが、仕事、お金、家族、自由、健康、承認……とかのイメージなんですかね。
登場するのは
単純な思考回路を持つネズミ
・スニッフ(変化に敏感)
・スカリー(素早く行動)
複雑な思考もできる小人
・ヘム(恐怖で動けない)
・ホー(恐怖と折り合いをつけつつ変化の波に乗る)
それぞれ性質が違うので、四者四様の行動をとるわけなんです。
これが何を示しているかというと
物語では、ネズミたちは単純な物の味方をするために変化に直面したときうまく対処しているが、小人たちのほうは複雑な頭脳と人間らしい感情のために物事を複雑にしていることがわかるだろう。
位置No.66
本書が伝えたいのはこのことに尽きるのかな、と思います。
感想
ネズミたちは単純性を、小人たちは複雑性を表現しています。
実際の人間にあてはめて考えると、四者の性質をすべて複合的に持っているのだろうと思います。
ただ、どの性質が強いか弱いかというのは個人差がありますよね。
だから、自分、あるいは周囲の人の姿を、ネズミあるいは小人に重ね合わせながら読んでいくというような感じになりました。
どの性質が強いと、変化(とくにピンチ)のときにどんな結果になるか、というのを物語の中で語ってくれている、という感じ。
単に「こうするとこうなりますよ」と言われるのではピンとこなくても、物語という舞台装置を通して感情移入するため、より自分事に感じられるのが本書の優れた点だと思います。
捉え方はいろいろあると思うのですけど、私が読み取ったのは、
「ピンチのときに、現状に執着したり、もしくは恐怖心によって、何の策も取らずにいると、よけいに事態が悪化する(可能性が高い)よ」
ということでした。
このこと自体は、以前から実感として持っていたのですけど。
最近のコロナ禍でも、「早く動いたおかげでピンチをチャンスにした例」というのを目の当たりにしました。
以下、少し説明します。
緊急事態宣言が出た頃だったか、近所のカフェが、大規模工事をしていました。
私はてっきり、以前から計画していた工事だろうと思い、「たしかに工事するなら今だよねー、水回りとかの修理かな」なんて思っていました。
工事後、カフェの近くを通ってみると、3方向の壁が取り払われているではありませんか。
室内でありながら、テラスタイプというのでしょうか。
屋根はあるけれど、基本的にはフルオープンで、完全に風が通るしくみ。
まさに「新しい生活様式」仕様。
すると、「ここなら安全だ」とみなさん思ったのでしょう。
改造したカフェだけは常に満席なのです。
しかも、安心感ゆえなのでしょうか、お客さんがすごく楽しそうに見える。
楽しそうな様子を通りすがりの人が見る。
ますますお客さんが入る。
まさに「変化(ピンチ)をチャンスに変えた例」だと思いました。
壁を取っ払ったのを見たときは「仕事早っ!」とは思いましたが、当時は外出自粛の効果で感染者が減りつつあり、「ここまで大工事する必要あるのかなー」なんて思ってしまったんです、私。
けれどその後、経済と両立していくことになり、感染者がどんどん増え、現在ではますます「感染予防対策」が叫ばれるようになりました。
完全に「工事して大正解」のパターン。
一方、昔ながらのスタイルを維持しているお店は、ものすごく厳しそうです。
実際にここ数日で何軒も閉店してしまいました……。
変化(ピンチ)のときにとる対応は、早ければ早いほど良い、というのを実感しています。
とはいえ、「もう少し様子を見よう」と思って初動が遅れてしまうのも非常によくわかるんですけどね。
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おわりに
短時間で読めますので、自分の姿をネズミや小人に重ねながら、読んでみてください。
ヒット作なので、すでに読んだ方もいらっしゃるでしょうが、私はスッカラカンに忘れていましたので、再読もおすすめです。