ししもとの読書ノート2.0

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ビジネスモデルを発想するための本|感想『儲けのしくみ』

以前通りかかった駅ナカの書店前に積まれていて、ちょっと気になっていた本。

酒井威津善『儲けのしくみ――50万円からできるビジネスモデル50』自由国民社(2017)

儲けのしくみ──50万円からできるビジネスモデル50

儲けのしくみ──50万円からできるビジネスモデル50

 

 

出版からすこし時間が経ってしまいましたが、読んでみましたので感想を記します。

どんな本?

この本は、ビジネスモデルを発想するための本です。

酒井威津善『儲けのしくみ――50万円からできるビジネスモデル50』自由国民社(2017)p.3


副題が「50万円からできるビジネスモデル」なので、具体的というか、手っ取り早く稼ぐ方法を想像してしまったのですが、実際は抽象的といいますか、「アイデア出しのための本」だと感じました。


本書では、現在あるビジネスを公式化(本質的にいうとどういう構造か、に置き換え)しています。

たとえば、ハンドメイドアクセサリー市場などは、利益重視というよりは「作品をみてもらいたい」とか「同じ趣味の人とつながりたい」といった面もあるわけです。
これを公式化すると「人間の承認欲求を活用する」になります。

このような公式が第3章に50ほど(考え方によっては重複しそうなものもありますが)並んでいて、公式を読みながら、自分のビジネスプランを考える、といった趣旨の本です。

要するに、発想の手助けをしてくれる本、なのですね。

役立つ人には大変有意義な本だと思いますが、読む人を選ぶというか、万人向けというわけではないのかな、と思いました。

もちろん、必ずしも万人向けである必要はないのですが、タイトルからすると、広範囲向けの感じがする(50万円という具体的な金額がそう思わせるのでしょうか)ので、実際の内容とやや乖離があるような気がしなくもない、と個人的には思いました。

(一旦本書からは逸れますが、本が売れない時代なので、タイトルで引きつけるのは致し方ないのでしょうね。売れないと次の本が出せないと聞きますし。ただ、タイトルで引きつけておいて「ちょっとタイトルと違うかも?」みたいな本が増えたら、長期的には読者がますます離れるような気がするのですけど……どうなんでしょう。まぁ、出版関係者でもないので何かを言える立場ではありませんが)

なるほどと思ったところ

私にはちょっと抽象的すぎて、理解できていない部分も大いにあるのですが、少しかみ砕きながら考えてみたいと思います。


ビジネスモデル発想のヒントとして、本書第3章ビジネスの公式32より

カード化する

酒井威津善『儲けのしくみ――50万円からできるビジネスモデル50』自由国民社(2017)p.186

 

子どもの頃、野球やガンダムのカードとか、ビックリマンチョコのシールとか集めたことがある方は多いのではないでしょうか。
最近だとポケモンとかプリキュアなのですかね。


私も祖母の家に遊びに行く度、近所の昔ながらのお店でガンダム?か何かのカードを買っていたのを思い出しました。

ガンダム(ロボットアニメでしたが、ガンダムだったかどうかすらも怪しい)自体に興味はなかったので、カードの絵柄を見て「これ素敵」などと思うことは一切なく、ただ「カードを集めている」という事実に満足していたように思います。

そんな人間の習性をうまくついているのが「カード化」。


本書では、「カード化」の実例としてダムカードが挙げられていました。

ダムカード自体は無料配布なので、ビジネスと称してよいのかわかりませんが、ダムを見に来たついでに、と近くの観光地や飲食店などが繁盛する可能性もありますから、広くとらえればビジネスということで。


カードではありませんが、最近流行の「御朱印」などもこのカテゴリーに入るのかな、と。

御朱印は神仏との結縁の証ですから、これまたビジネスと呼んではいけないのかもしれませんが……しかし、神社仏閣も維持にお金がかかるのは当然で、それをまかなうためにある程度の収入を得る必要はあるわけで。集める側も楽しいし、神社仏閣側も潤うし、win-winのやり方なのかな。


あと、夏休みに鉄道会社が企画する「スタンプラリー」も「カード化」と似たようなところがありますよね。


収集癖のある人間としては、今だにダムカードや御朱印にはかなり惹かれてしまいます(鉄道スタンプラリーもうっかりするとやりそう)。

が、これまでの経験で「集めているときは猛烈に楽しいが、自分の中でブームが過ぎるとどうでもよくなり、むしろ処分に困ったりする」ということを実感しているので、最近は集める系のものに対してはやや慎重になってきました。

私の場合は中途半端な収集なので、単なる消費で終わってしまっているのですが、収集を極めるとそれはそれでビジネスにつながる可能性がありますよね。


たとえば美術館。
昔のお金持ちが趣味で集めまくって、後に美術館になった例もあります。

投資額を考えると、利益はほぼないのかもしれませんが、入館料をいただいたり、何かの展覧会に貸し出す際にレンタル代をもらうなんてケースも考えられそうです。
まぁ、誰にでもできることではないですが。


美術館までいかなくても、キティちゃんグッズを集めまくった方の特集をテレビで拝見したことがあります。
わざわざ見学にこられる方もいらっしゃるのだとか。
見学料はとっていないようなので、あくまで趣味のカテゴリーなのでしょうが、ビジネスにしようと思えば何らかのやり方はあるような気もします(サンリオさんとの兼ね合いがあって難しいのかな)。


本書からは少し逸れましたが、こうしてアレコレ考えてみるのは楽しいですね。実際に形にするとなるととんでもない労力でしょうが。

気になった方はぜひ本書を参考に、ビジネスプランを練ってみてください。


おわりに

全体を通して、小さなビジネスというのは「ちょっとした不便」に宿っているのだな、ということを思いました、ありきたりですが。

「ちょっとしたニーズ」をすくい取って、実際に形にすることを想像してみると、やはりかなり大変だろうな、とも。
さらに、自分にはそこまでのガッツがないな、とも思いました(汗)。

また、「ちょっとしたニーズ」に対して、すでに多種多様なビジネスが存在しているんだな、みなさんすごいな、とのほほんとしたことを思いました。


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