大学生の頃、教養課程で哲学の授業を履修したことがあります。
確かハイデガーとか、哲人たちの思想を学ぶような内容だったり、幸福とは何かを考えたり。
しかし、そういった思想の類は、理系学部で実験に追われていた当時の自分とはかけ離れすぎていて、難しくてつまらないものに感じていました。
その後、いろんな経験をして、年齢を重ねていくうちに、哲学っておもしろいものなんだなー、と気づき始めます。
とはいえ、岩波文庫のような、「ザ・名著」みたいな本は読むだけでけっこう大変で、何日もかかったり、途中で飽きてきたりもします。
本書は、人生相談×哲学ということで、読みやすそうだったので手に取りました。
國分功一郎『哲学の先生と人生の話をしよう』朝日新聞出版(2013)
どんな本?
寄せられた相談メールに対し、著者が答えていくのですが、普通の人生相談とは少し違う気がしました。
「あなたのお悩みに対するアドバイスはコレ!」みたいなハッキリした解があるのではなく、相談者本人(+読者)に考えさせよう、という感じです。
相談者本人が自分で考えるために、ヒントとなる哲学的考え方や本を提示し、「ここのポイントについてよく考えてみてください」というような感じ(情報はメールの文面のみなので、情報量が不足してそうせざるを得ないケースもあるのでしょうが)。
もちろん相談に対し、わりとハッキリ答えているケースもあるのですが、考えさせる(本人にも、読者にも)場面が多い印象です。
若い頃なら「答えをはっきり示してほしい」ともどかしく思ったかもしれませんが、今はある程度自分で考えられるようになったのか、この形式はおもしろかったです。
目からうろこポイント
自分に嘘をつくとは?
>>>自分に嘘をつくとは? 情動(生体としての反応)を無視したり裏切ること |感想『哲学の先生と人生の話をしよう』
運がいい人・悪い人の特徴
>>>運がいい人は適切な選択を積み上げている|感想『哲学の先生と人生の話をしよう』
おわりに
「ああ、わかる、それ知りたい」という相談も多く、興味深く読みました。
よくあるお悩み解決型の本とも一味違って、考えさせられるところも多かったです。
かといって読みにくさもなく、新しい知見も得られたし、面白かったです。
朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:哲学の先生と人生の話をしよう
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