ししもとの読書ノート2.0

自分らしく生きるために知識をつける

眠れないのは睡眠に対する「こだわり」を持っているから

長年、寝つきの悪さに悩んでいます。

午前中は調子が悪いのに、なぜか夜に向かって元気が出てきてしまうのです。
深夜を過ぎてもなかなか眠くならない(その一方で、一旦眠るとなかなか起きられない)。


「身体が疲れていないから眠れないんじゃない?」「運動不足」などとよく言われてきました。
一因ではあると思いますが、それだけではない気がしています。


床についてから「眠れないと思っているうちに二時間も経ってしまった」「この二時間あったら何かできたのに」と思うことや、起床後に「また朝方まで眠れなかった……」とか「また昼まで寝てしまった……もう一日の始まりを失敗した」みたいに思うのがツライ。


体質的には夜型だと思うので、無理な早起きは望まないにせよ(夜型の人が無理やり早朝に起きると心臓などに負担がかかるんだとか)。

「朝が苦手」は遺伝かも…無理な早起きは事故やうつ、心疾患のリスク 夜型の人に理解を! : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)


せめて「寝つきのわるさ」を改善したいと思い、この本を読んでみました。


櫻井武『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』Kindle版(2017)

 

広告- - - - - - - - - -

 



どんな本?

前半は、脳内で睡眠が作り出されるメカニズムや、なぜそれが邪魔されるのかなどを、かなり専門的に解説しています(著者は睡眠医学の研究者)。

それを踏まえた上で、自然な睡眠を得るためのヒントを教えてくれるという内容です。

このように書くと、定番の睡眠本な感じがしますが、私がこれまで思い込んでいた「睡眠の常識」みたいなものがことごとくひっくり返る本でした。

というか、「私はむしろ寝つきの悪さを招くような考え方・行動をしていたのだな」とわかり、目から鱗が落ちました。

ちまたで言われている「睡眠のコツ」を試してはきたけれど、全然ダメだった、という人は参考になる部分があるのではと思います。


読書メモ

「こうすると寝つきがよくなる」とか「質の高い睡眠をとるには〇〇がいい」という話はよく耳にしますよね。

ですが、それらは神話のようなもので、正しいもの、間違っているもの、正しいが説明が必要なものなど、いろいろあるそうです。

入ってくる情報を鵜呑みにすると、「いい眠りのためには〇〇しないと!」「〇時間は眠らないと!」といった「こだわり」となってしまう、と著者はいいます。

この「こだわり」がむしろ、「眠れない」につながってしまうのだそうです!!
次第に、「眠れない」こと自体を不安に思ってしまうようになり、慢性化してしまう、と。


まさに私、この罠にはまっていました。

たとえば、「成長ホルモンは午後10時~午前2時に分泌されるから、美容・健康のためにはその時間帯には寝ていないとダメ」とか。

私は早寝が苦手なので「成長ホルモンがあまり出ないわけだから、早々に病気になるかも」などと漠然と不安に思っていました。

しかし著者によれば、入眠後の最初の深いノンレム睡眠で成長ホルモンが分泌されるので、時間帯は関係ないのだとか。
関係するのは眠りの深さだそうです。

つまり、時間帯にこだわって早く寝ようとすると、「眠れない」という体験を増やすだけなんですね。

こういった、「睡眠神話」を一つ一つ取り上げて正しく解説してくれるのですが、他にも「えっ! そうだったの!?」ということばかりでした。


「眠れない」と学習してしまっているから、ますます眠れないわけなんですね。
ということは、「眠れない」という体験を減らして、「眠れた」という体験をしていけばよいわけです。

そのためのヒントが後半で書かれています。

f:id:shishi-book:20200512134826p:plain

読書メモ『必ず眠れるとっておきの秘訣』

目から鱗ポイント

上で触れた「睡眠のゴールデンタイム説」以外にも、私はいろいろ間違えていました。

・早めに布団に入り、寝ようと試みる
・本を読んだりして眠気を誘う
・眠れなくても、目をつむって、眠ろうとねばる

これ全部、逆効果でした!!

寝室(寝床)は寝る専用に

不眠に悩んでいる人ほど、寝室で本を読んだりスマホで動画を見たり、いろいろな作業をしているものです。そうすると、寝室がますます「眠る場所」ではなくなっていきます。「本を読むと眠くなるかも……」などと考えて、わざわざベッドに入って本を読む人もいるかもしれませんが、逆効果です。
 寝室でいろいろなことをしていると、その部屋を「作業する部屋」として脳は認識してしまいます。

櫻井武『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』Kindle版(2017)No.1019


(ワンルームにお住まいの場合は「寝室=寝床(ふとん、ベッドなど)」と考えればよいそうです)

寝室でいろいろ作業、これ完全に私です。
(ブルーライトが良くないという話はよく聞くので、なるべく避けていましたが、光の出ないものなら大丈夫と思っていました)

よかれと思ってやっていたんですよ。
はやく布団に入ったほうが眠くなるだろうって。

しかも、ここ最近は居間というか、仕事スペースの真横で寝ていました(エアコンが居間にしかないので、冬は寝室を使えず)。

でもたしかに、寝室を使っていたころのほうが、眠れていたような……。

というわけで、早速、数日前から再び寝室を使うことに(気候も良くなってきて暖房も不要になったことだし)。

まだ日が経っていないので、正確なことは言えないかもしれませんが、寝室で寝るほうが、気分的に「休んだ」という感じがしました。
切り替えがうまくいきやすい、というか。

15分眠れなかったら、一旦起きる

これも目から鱗です。
私は、眠れなくても、なんとか「眠ろう」と粘っていました。

子供の頃、「眠れない」と言ったら、大人たちはこぞって「目つぶってたらそのうち眠くなるから」と言いましたものね。

それをいまだに信じこんでいて、眠れないときこそ「眠ろう、眠ろう」としていました。

 

寝つけないのになお寝ようとすると、かえって情動が高まり、覚醒に向かってしまいます。

櫻井武『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』Kindle版(2017)No.1028

 

寝ようとしているのに15分以上寝られなかったら、その間ずっと嫌な思いをしていることになるので、「眠れない部屋」という条件づけが強化されてしまいます。

櫻井武『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』Kindle版(2017)No.1033

 

どうりで、二時間も三時間も眠れないわけですね……。
「寝なきゃいけないのに眠れない」というストレスや不安を抱えているんですものね。

15分眠れなかったら、寝室(寝床)を離れ、居間に移動するなりして、眠くなるのを待つのだそうです。
また眠くなったら、寝室へ。
それでも眠れなかったらまた起きる。
これを繰り返していくと、必ず眠れるのだそうです(詳しい説明は本書をご覧ください)。

そもそも「全然眠くないけど」という状態で布団に入っていたのが間違いでした。
眠くてどうしようもない、という段階で寝ようとすればよかったんですよね。

でも、そうやって眠くなるのを待っていたら、昼夜逆転がどんどん進行してしまいそうで、怖かったんです。

それを防止するためのヒントなども書かれていますので、続きは本書をごらんいただければと思います。

広告- - - - - - - - - -

 



おわりに

本記事では触れられませんでしたが、睡眠のメカニズムや、なぜ睡眠が必要なのか、睡眠薬など、相当詳しく解説されている本です。
(一般人向けのレベルを超えているのでは、というくらい詳しい)

自然に眠るためのヒントも一部しか紹介できませんでしたが、「なるほど」と心底納得してしまう内容ばかりでした。

私は「眠り」に対してかなりネガティブな気持ちを抱いていましたが、それがちょっとほぐれたような気がします。

眠れないときに「寝よう寝よう」としなくていいというだけでも、だいぶホッとしました。

不安が強い人、神経質な人にこそ読んでもらいたい本です。

(ちなみに、寝床で本を読もうがスマホを見ようが、早く床につこうが、あっさりと眠れる人は眠れるらしいので、そういう人は何も気にしなくてOKだそうです)