以前の記事にも書いていますが、部屋をスッキリさせたい、と思いつつも、なかなか理想には届かずの状態です。
片づけの本を読んで「これやってみよう!」と思ったことは実践しているので、良くなってきているとは思うのですが。
ちなみに、具体的に実践しているのは、最近は主に次の二つ。
①一日一捨て
experience.shishimoto-yuima.work
②捨てる理由を考える(モノの選び方が間違っていないか検討→今後の買い物に反映)
experience.shishimoto-yuima.work
上の二つを実践してわかってきたことは
① 一日一捨てでは(現在の私の状況では)間に合わない(平均するとそれ以上のペースでモノが入ってくる)
②-1 いただきものはどうしても不要になってしまいがち(気持ちはとても嬉しく、しばらくとっておくのですが、結局は自分の趣味や求める実用性に合わないことが多い)
②-2 「これお得! 何かに使えそう!」といったような「お得感」から購入したものは結局使いきれず捨てることになってしまう
ということでした。
なので、今後の方針としては
① 一日一捨ては継続、できれば二捨てくらい
②-1 親戚からのお下がりなど、断れる余地のあるものは断る
②-2 「お得!」に惑わされない (意外と難しい…)
となりました。
これらは引き続き実践するとして、「他にも何か参考にできることはなかろうか」と思っていたところ、
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』実務教育出版(2017)
が目に留まりました。
トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく! -
- 作者: 香村薫,小谷俊介,都愛ともか,河原未奈
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2017/03/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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どんな本?
著者はトヨタのグループ会社で働いた経験を持ち、現在はライフオーガナイザーとして活動されている方。
仕事が忙しかったので、家のことを効率化するべく、捨てに捨てまくったところ、捨てすぎによるマイナス面を実感したそうです。
そこからトヨタ式のやり方を片づけに取り入れてみたら、うまくいった、という内容。
まずは「自分のモノに対する価値観」を知り、片づける理由を明確にする。
その後、モノの適正量を決める。
といったところが本書のポイントかと思います。
なお、本書タイトルの副題「‐5つの「しくみ」でみるみる片づく‐」にある5つのしくみとは
①「なぜなぜ分析」
→何のために片づけるのかを明確にする
②「見える化」
→モノの適正量を決める
③「ムダとり」
→ムダなモノを減らす
④「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」
→家事を極限まで時短
⑤「カイゼン」
→片づいた状態をキープするしくみづくり
個人的に一番よかったのは①の「なぜなぜ分析」でしたので、本記事ではその部分の感想をメインに記したいと思います。
捨てすぎによる弊害
まだまだモノが多い私からすると、「捨てまくった方がいいのではないか」と思っていましたが、捨てすぎもそれはそれで問題が生じる、と著者はいいます。
例えば
TVを捨ててみたら……ギャンブルにおぼれた
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』P.36
空っぽの部屋では家での楽しみが なくなり、外での楽しみを求めるようになったそうです。次第に何をしていても虚しくなった、とのこと。
ハマるものが何かは人によって違うでしょうが、家が心地よくなかったり、楽しみがなければ、外に求めてしまうというのは理解できます。
そういえば私も、部屋が乱雑なときほど「カフェに行きたい!」となるような気がします。
コーヒーやお茶が飲みたいというよりは、心地よい空間を求めているのかも。
テーブルを捨ててみたら……来客ゼロになった
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』P.38
自分たちは「何もなくてスッキリ」と思っていても、来客からすれば「ど…どこに座ればいいのやら」と居心地の悪い空間になっていたそうです。
たしかに、自分が訪問したお宅に何もなかったら……と想像してみると、「私はここに居ていいのだろうか」という気持ちになりそうだな、と思いました。
「何もない=私たちは何も受け入れません」の表明のような印象を、人間はどことなく感じ取るのかもしれません。
魅力的な部屋って、必ずしも、何もない部屋というわけではないですよね。
そこに暮らす人の人となりが見えるから魅力的なのだ、といったようなことも本書に書かれていて、なるほどその通りだなと思ったのでした。
まぁ、私自身はここまで捨てすぎることはないでしょう(むしろそこまでの勇気がほしい)が、あまり「モノが少ないこと」にこだわらなくてもいいのかな、と思いました。
最初に行うのは「自分のモノに対する価値観を知ること」@なぜなぜ分析
本書のなかで個人的に一番よかったのが、自分の価値観を知るための「なぜなぜ分析」。
「なぜなぜ分析」はトヨタグループで行われている手法で、例えば、何か問題が生じたときに、その本質的原因を探るため、「なぜ」を繰り返す(最低5回)、というもの。
この手法を用いて、「なぜ片づけるのか」という理由を明確にするのです。
ここが明確になれば9割片づいたも同然とのこと。
忙しい現代、家事を効率化するためにモノを少なくしたい、という方も多いと思いますが、大事なのは「モノがない状態そのもの」ではなくて、
苦労して生み出した時間で、本当は何をしたいのか?
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』P.36
ということ。
これを認識するために、まず最初に「自分のモノに対する価値観を知る」必要があるわけです。
「自分のモノに対する価値観を知る」ために、効果的な問いかけが、本書には4つ記載されています。
価値観分析のための問いかけを一つだけご紹介。
お金・健康・家族以外であなたにとって大切なモノは?
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』P.36
この問いかけに対し、私もなぜなぜ分析を実施してみました。
(以下は本書をもとに私自身が行った、なぜなぜ分析の例です。適切に分析できているかは不明なので、ご参考程度とお考えください。)
●あなたにとって大切なモノは(お金・健康・家族以外で)?
→自由であること(自分で決められること)。※
(※質問にある「モノ」の解釈について、物理的な物体に限らず、「ものごと」も含めてよいと私は判断しました。問いかけの文章に登場する「健康」なども物体というよりは「ものごと」だと思いましたので)
●なぜそう思う?(なぜなぜ一回目)
→親や親戚に(物質的にも精神的にも)価値観を押し付けられたのがイヤだったから。
●なぜイヤだったのか?(なぜなぜ二回目)
→好きなモノ・ことを選べないと、自分の周りが(自分にとって)イマイチなモノ・ことばかりになってくるから。
●なぜイマイチなものばかりだとイヤなのか?(なぜなぜ三回目)
→イマイチなものが目に入ると「本当はこれじゃないのに」とイラッとしてしまうから。イマイチなことを選ぶとやる気が出ずうまくいかないから。
●なぜイラッとしたりやる気がでないのか?(なぜなぜ四回目)
→本来の自分から遠ざかっているような気がして焦燥感にかられるから。
●なぜそう感じるのか?(なぜなぜ五回目)
→自分が消失していくような気がしてくるから。生きている意味がないような気がしてくるから。
他の問いかけ3つについても、なぜなぜを繰り返していたら、最終的に「生きていることの意味を、自分自身が感じたい」「自分は生きていてもよいと思いたい」という結論に達しました。
私は普段から内省的なタイプなので、自分のことは分析できているつもりでしたが、「生きていることの意味を感じたい」とここまで強く思っているとは意外でした。
意外と言語化できていないこともあるものですね。
なぜなぜ分析、侮れません。
さて、こうして、大切にしている価値観がわかったところで「片づける理由」を明確にしていきたいと思います。
私の場合「私は生きていても良い」「生きる価値がある」と思えることが大事であり、その手段として「何かを創る」「表現する」というツールを持っています(このあたりのことも、他の問いかけに対して「なぜなぜ」を繰り返すことによって認識できました)。
なので、掃除や整理整頓の時間を減らすことで生み出した時間で何がしたいかというと、「何かを創る」ということになります。
つまり私の場合は、「何かを創る」ために「片づけたい」のだ、ということがわかりました。
また、これは実用的な理由なのですが、ハウスダストアレルギーの気配があるので、掃除をしやすくするために片づける、というのもあります。
片づける理由がクリアーになり、スッキリしました。
ここまできたら、あとはモノの適正量を決める、というステップに入ります。
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モノの適正量を決める
具体的な手順としては
① モノを全部出す(洋服なら洋服すべて)
② 使う季節や使う目的ごとに分ける
③ ほどよい量を決める
とのこと。
私自身、ここはまだ着手できていないので、後日実践してみて、気づいたことがあれば、また報告します。
着手前ではありますが、一つ思ったのは、「持っているものを全て出して眺める」というのは、やはり有効なのだな、ということ(様々な片づけ本にもそう書かれていますが)。
私は洋服に関しては必要以上に増やすことがなく(洋服好きなのに)、一方で、本などはどんどん増やしてしまうところがあります。
洋服も本もどちらもすごく好きなのに、どうして洋服の方は溜まらないのか。
それはおそらく、洋服は全て見渡せる環境にあるからだと思うのです。
現在、スーツなどを除き、ほぼ全ての衣類をベッド下の引き出しに入れています(というか、他に収納するところがなかった)。
つまり、ベッド下の引き出しを開け放つと、一応全体を見渡せる状況。
引き出しがいっぱいになると、洋服を選ぶ度に取り出しにくくてイライラするので、「いらないものはないかな」と無意識にチェックするようになっていました。
いつしか、こまめに処分するクセがついたようです。
一方、問題なのは本。
本を増やさないために本棚を置いていないのですが、
どうしても本を買ってしまう→部屋に積みあがっていく→箱に入れて押入れにしまう→蔵書を把握できていない→読みたい本がないような気がしてまた買ってしまう
というループにハマっている気がします。
蔵書を見渡せるよう、やっぱり本棚は必要かも、と思ったのでした。
その他よかったところ
ストレスのはけ口としてのコレクション
長くなってしまったので、切り上げようと思いつつ、とても納得した文章があったので紹介します。
片づけの天敵の一つ、「コレクション」。
何かを集めまくってしまうとき、ありますよね。
実は私も、かつてキャラクターグッズを猛烈に集めていました。
そのからくりは、というと
特定のジャンルのものを買うことで「何か(うまくいかない)状況が変わるはず」という思いが購買意欲を増長させているケースがあります。
香村薫『トヨタ式おうち片づけ -5つの「しくみ」でみるみる片づく!-』P.86
確かに、キャラクターグッズはかわいいし「欲しい」とは思ったのは間違いないのですが、冷静に振り返ってみると、キャラクターグッズそれ自体が欲しいというよりは、「癒し」というか「現実から目を背けるための何か」が欲しかったのです。
また、心理学や自己啓発系の本をつい買ってしまうのも「この一冊で、私の人生変わるかも」という期待が根底にあるのだろうと思います。
ただ、本に関しては、実際に人生を変えるキッカケとなった本もたくさんあったので、結果としては良かったのですが。
(本は比較的処分もしやすいですし)
私の友人も、キツイ仕事をしていた時、「異常に化粧品を買ってしまって、全然お金が貯まらなかった。あれはストレスのせいだったのではないか。転職してからは全く化粧品買っていないから」と言っていました。
ですので、何かを盲目的に集めてしまう、というときは、「どうしてこんなに買ってしまうのだろう」と冷静に自分を分析してみるといいかもしれません。
まぁ、ストレスフルなときって、そんな余裕もなかなかないのですけどね。
おわりに
なぜなぜ分析のことをメインに書いてしまいましたが、具体的な整理整頓の工夫や、家事の時短アイディアなども記載されていました。
ともあれ、私にとっての収穫は、「片づけ」というテーマを掘り下げていくうちに、いつの間にか「自分の大切にしている価値観」に迫っていて、それを改めて認識できたことです。
考えを掘り下げてばかりではなく、実際に手を動かすほうも頑張らないとな、とも思いました。
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