同じジャンルの本ばかり読んでいるとやっぱり飽きがきますよね。
ということで、普段あまり手に取らないような本を読んでみました。
竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)
どんな本?
人間に関する疑問(例:なぜ美人・イケメンに魅かれるのか、など)を、主に動物行動学の観点から解明、解説しています。
科学的とはいえ、一つの考え方に過ぎず、絶対に正しいというわけではないですが、個人的にはなかなか納得感があるなあ、と思いました。
小難しい説明もないので、理系っぽいのはちょっと…という方でも読みやすいのではないかと思います。
全体的な感想として、すごくおもしろかったです。
以下、私が妙に納得してしまったところを紹介します。
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そうだったのか! 一目惚れについて
一目惚れ、ってなんだか良くないことのような気がしていました。
だって、一目ですよ。
中身を全く知らないのですよ。
目に映る範囲のことだけで良いとか悪いとか判断するなんて、軽々しい感じがするような…。
子供の頃から周りの大人たちによって「男は顔じゃない」と言い聞かされてきましたし。
にも関わらず。
ただ街で見かけただけ、すれ違っただけの人に「うわっ、うわっ、ものすごく好みの人がいる!」となったことがこんな私(決して惚れっぽいタイプではない)ですら一回くらいはあるのです。
この「ものすごく好みの人」が一般的にいわれる「イケメン」に当てはまるかどうか、自分でもわからなかったりするのですが、とにかく自分にとってはすごくピッタリという感じで、衝撃的だったのです。
とはいえ。
いやいや、何を言うとるんだ、私よ、と。
見かけただけで何がわかるのだ、何も知らないのに、と理性は言います。
理性に叱責されているうちに、自分がとんでもなく浅はかな気がしてきて、自己嫌悪にさえ陥ったりします(もちろん何かしらの行動に出られるわけもない)。
ですが、本書によれば、一目惚れで異性を選ぶことは、動物行動的には間違っていないというではありませんか!
ルックスのよさとは、動物行動学や進化論の分野では、ずばり免疫力の高さ、つまり病原体と戦う力の高さを意味します。
引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.17
あえて簡潔にすると、美男美女=免疫力が高い、ということ。
臭くないことも免疫力の高さを表しているそうです。
つまり、一目惚れとは、免疫力の高さを見抜き、惚れるということ。一目惚れしやすい人とは、相手の免疫力を重要視する人だと言うことができるでしょう。
引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.18,19
外見、性格、経済力…etc。
人によって何を重視するかは違いますが、外見重視の人は免疫力重視だということですね。
だとすると、一目惚れの相手が必ずしも「誰もが認めるイケメン」とは限らないことも説明がつくなと思いました。
おそらく、自分の免疫との相性が良い(子供を持った場合に、免疫力の高い子供が生まれる組み合わせ)ということなのでしょう。
個人的に、一目惚れなんて浅はかだ、と思い込んでいましたが、動物行動的にいえば、ある意味効率的なことだったのですね!
罪悪感感じる必要なし!
まぁ、実際問題、一目惚れの相手とどうこうなるのは難しいとは思いますが…。
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おわりに
「本音と建前」という言葉がありますが、普段口にしがたい「本音」の方にグッと切り込んでくれる(あくまで動物行動学的に)要素のある本であり、スッキリした読後感を得られました。
長年「私の考えはおかしいんだろうか」とモヤモヤしていたことが「なーんだ、生物学的には仕方ないんだ」と思えたりもしました。
おもしろかったです!
「なぜ毒親が存在するか」についても解説があり、こちらも妙に納得したのでした。
ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 - (竹内久美子) | ワニブックスオフィシャルサイト
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