ししもとの読書ノート2.0

自分らしく生きるために知識をつける

やりたいことがわからないときに自分にかける3つの質問 |『自分をいかして生きる』


西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011) の感想②。

自分をいかして生きる (ちくま文庫)

自分をいかして生きる (ちくま文庫)

 


全体的な感想はこちら

働き方は生き方に直結する |『自分をいかして生きる』 - ししもとの読書ノート2.0

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やりたいことがわからないときに考えてみること3つ

①「お客さん」でいられないことは?

「好きを仕事に」はよく言われることですし、私自身も基本的にはその考えに肯定的です。
将来の安定性とか親の目を気にして前職を選んだ結果、失敗していますので。

かといって、「好き」だけでいいのか、と著者は考えます。

どんなに映画が好きでも、ただそれを見ていれば幸せで、足りる人はお客さんだと思う。別に客でいることが悪いわけじゃない。店で食事をして、「美味しかったー」とただ満足して家路につけるなら、そこに自分の仕事の影は見あたらないのだろう。

西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011)p.73

 
では、仕事にできる可能性のあることって、どう見極めたらよいのか、というと。

「自分がお客さんでいられないことは?」という問いはどうだろう。

西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011)p.73

 
「自分ならこうするのに!」と思ったり、何か焦りのようなものを感じたり、その仕事に就いている人に対して嫉妬のようなものを覚えたり、といったことでしょうかね。

なにが流行っているとか儲かるとか、このように生きるべきといった外側の指標ではなく、自分の葛藤。「ザワザワする」ところ。「お客さんではすまない」部分。「好き」よりさらに前の感覚的なもの。

西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011)p.77



たしかに、「好きだけれど、仕事にしようと思ったことはない」という事柄ってありますよね。

私はカフェでくつろいだり本を読むのがとても好きですが、「自分でカフェを開こう!」とは一度も思ったことがないです。

まさに「お客さんでいることに満足」の状態。


では、「お客さんでいられない」ことがあるかというと……私の場合は「なにかをつくっている人」には嫉妬しますね。

「なにかをつくっている」をもう少し具体的に説明すると
「「自分にはコレ!」という対象を見つけて、それを作ったり表現している人」
という感じ。

「なにか」というのは、その人にとって「絶対外せないもの」であれば、結果的にそれが絵だろうが書だろうが音楽だろうが研究だろうが何でもいいんです。

「ああ、この人には、これがどうしても必要なんだ」と必然性を感じること、そしてそれにのめり込む姿をとてもうらやましいと思ってしまいます。

肝心の「なにか(のめり込む対象)」がはっきりしないのが私の痛いところなのですが……。

おそらく「成果を出せないならそれはゼロ」という教育を受けてきたため、わりとすぐ諦めるクセがついてしまったのではないかと。

好きなことであっても「ははん、それで飯が食えるわけでもあるまいし(※)」と親戚などに言われると、一気にやる気がなくなる、というか。

(※「食える食えない」の観点はもちろん必要だと思いますが、子供のうちは成果を気にせず「ただ好きだから」でやることがあってもよかったのではないかと今は思います)

結局、「他人に認められること」ばかり意識したせいで、自分にとって大事なものを見失ってきたのだろうと思います。

② 力の出ることは何か?

著者も、20代後半でなにがやりたいのかと悩んだ時期があるそうです。

そのころの自分に会ったら、今の自分はどう関わるだろうかというと、「基本的にアドバイスはしない」そうですが

「力が出ることをやりなよ」、ぐらいは口に出すかもしれない。力を出し切ることが、潜在的な可能性をひらいてゆく唯一の方法だと思うから。

西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011)p.93

 

これ、すごくいいなと思いました。
何がやりたいかはわかりづらくても、「無理なく力が出ること」だったら体感的に認識しやすい気がします。

③ いま、どうしたいか?

また、本書には、蕎麦屋・黒森庵の加藤さんという方が登場するのですが、その方の言葉も参考になりそうです。

やりたいことが見つからないとか、何をやってもうまくいかないとか、面白くないということがあっても、どの瞬間でも、その中で一番やりたいことは多分ある。
 「いまどうしたいか」、ということ。それをやってゆくと何か見つかってくるんじゃないかって。

西村佳哲『自分をいかして生きる(ちくま文庫)』筑摩書房(2011)p.115


途方もなく「やりたいことがわからない」場合は、その時その時の、「やりたいこと」をやるといい、ということですね。
ボトムアップ方式というか。


振り返ってみると、私も以前勤めていた会社を辞めて「やりたいことがわからない、というかむしろ、もう何もしたくない」状態だったときは、ひたすら「その瞬間瞬間にやろうと思うこと」をやっていたように思います。
本を読んだり、洋服を作ったり、昼寝したり、散歩したり。

そのように気ままに過ごしていると「このままだと将来どうなってしまうのだろう……」といった不安が生じる方も多いだろうとは思います。

私の場合は「ここでリセットしておかないと、中途半端なまま社会に戻っても、同じ失敗を繰り返すだろう」と感じていたので、割り切って休むことができました。

だからこそ、「その瞬間瞬間にやりたいこと」を粛々と遂行できたように思います。


人それぞれいろんな事情がありますから、「やりたいことをやらねば!」と焦る必要はなくて、自分にできる範囲で「いまどうしたいか」をかなえていくのが大事なのだろうと思います。

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おわりに

やりたいことがわからないときに自分にかける3つの質問

・「お客さん」でいられないことは?
・力の出ることは何か?
・いま、どうしたいか?