ししもとの読書ノート2.0

自分らしく生きるために知識をつける

読んできた小説のうち印象に残っているもの

当ブログでは、生き方に関連する本の紹介をメインとしていますが、たまには好きな小説・作家について語るのもいいかなと思い、記事を書いています。

 

読んできた小説のうち印象が強いもの(年代別)

小学校低学年 『おこりじぞう』

子どもの頃、というか小学校低学年のうちは、学校の図書室によく通っていました。
低学年向けの棚にあった本はおおかた読んだような気がします。

とはいえ、「本が好き!」という自覚はなく、「まぁ、暇つぶしに読むか」みたいな感覚に近かったような。

当時はまだ、読書をすることは「偉い」とみなされるような雰囲気が教育現場にあった(今もそうなんですかね?)という事情も影響しているかも。
良い子を演じることに命をかけていたものですから(汗)。

なので、「この本に衝撃を受けた!」という記憶があまりないのが哀しいところです。

でも、これを書いていて一冊思い出しました。
『おこりじぞう』です。

おこりじぞう (新日本おはなし文庫 6)

おこりじぞう (新日本おはなし文庫 6)

 

 

ウン十年も前のことですので、間違って記憶しているかもしれませんが、内容はこんな感じだったかと。

舞台は戦時中の広島。
ある日原爆が投下され、街は壊滅。
大やけどをし、水を渇望する女の子。
いつも笑っていたおじぞうさんは怒り、目から涙が溢れさせ、涙はぽろぽろと地面を伝って、女の子の口元に…

的な話だっだと思います(子ども向けではありますが、子どもには結構衝撃的です)。

親戚が広島にいたり、平和記念資料館も行ったことがあったので(当時幼稚園児だったのでだいぶトラウマになりましたが)、馴染みがあったのかな。

小学校高学年 少年探偵シリーズ

小学校高学年になると、母に無理やり私立中学受験用の塾に行かされるようになった(すごく嫌だった。いまだにトラウマ)ので、読書量はグッと減りました。

たまーに江戸川乱歩の『少年探偵』シリーズを読むくらいでしたかね。

([え]2-1)怪人二十面相 江戸川乱歩・少年探偵1 (ポプラ文庫クラシック)

([え]2-1)怪人二十面相 江戸川乱歩・少年探偵1 (ポプラ文庫クラシック)

 

 

中学時代 『夏の庭』『車輪の下』

中学生の頃は、あまり本を読んだ記憶がないのですが、読書感想文を書いた記憶はあります。

湯本香樹実さんの『夏の庭』とヘッセの『車輪の下』。

どちらも夏休みになると本屋さんに「夏の100冊フェア」的な感じで平置きされているのを今でも見かけますから、超定番ですね。

『夏の庭』は、少年三人が老人を通して死と向きあう話だったと思うのですが…ほとんど忘れてしまいました。

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

 



『車輪の下』は、抑圧されている青年の話だったと思うので、自分の状況と似た部分があったはずなのですが、当時は他人事としてサラッと読んでしまいました。

あのとき「おや? 私と似ているところがあるぞ?」と気づいていれば、もう少し早く人生を修正できたかもしれないのになぁ、と残念に思います。
しかし、そこまでの読解力・理解力、並びに、己を俯瞰して見つめる力が、中学生の自分にはなかったので、仕方ないですね。

今読んだらまた違った感想を抱きそう。

車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

 

 

現在こうして本の感想を綴るブログを運営している私ですが、そういえば、昔から読書感想文を書くのは苦にならなかったです。
上の二冊の読書感想文も、何かの賞(といっても校内レベルだったと思いますが)をもらった記憶があります。

得意なことって、比較的早い段階から得意なのかも。

「やりたいことや得意なことがわからない」という方は過去を振り返ってみるといいかもしれません(いろんな自己啓発書とかで言われていることですが)。

高校時代 『舞姫』『こころ』

高校生活は(私の人生の中では)比較的充実していたこともあり、そこまで本を読んだ記憶はないですが、現代文の教科書を読むのは結構楽しみでした。

特に印象に残っているのは、森鴎外の『舞姫』と夏目漱石の『こころ』です。
どちらも名著中の名著ですね。

『舞姫』の方は、当時高校生だったということもあり、「豊太郎(主人公)ひどい!!」と思った記憶があります。
それ以上に、どうしようもない切なさも印象的でした。

現代語訳 舞姫 (ちくま文庫)

現代語訳 舞姫 (ちくま文庫)

 

 

『こころ』も衝撃的でした…。
教科書には、小説のうちのごく一部分しか掲載されていませんでしたが、その一部だけでも、当時の私にはすごい破壊力でした。

中学生・高校生くらいの年ごろって、「(恋愛における)三角関係って、どこに行きつくのだろう」と悩むことも多い時期ですよね。
その悩みというか疑問に対して、(極端ではあるが)一つの答えを見せてくれるところがすごいと思いました。

大人になってから、フルで読み返したのですが、その時点ではもう高校生当時のような衝撃を受けることもなかったです。

たとえ一部でも『こころ』が高校の教科書に載っているのは納得、と思いました。

こころ (新潮文庫)

こころ (新潮文庫)

 

 

村上春樹さんを読むようになったのもこの頃。
現代文の副読本として『高校生のための文章読本』というのがあって、そこに村上春樹さんの小説の文章が載っていました。
そこからしばらくハマっていたように思います。

高校生のための文章読本 (ちくま学芸文庫)

高校生のための文章読本 (ちくま学芸文庫)

 

 

18歳のおわり 『ノルウェイの森』で衝撃、現実に戻れなくなる

これが最も強烈な読書体験かもしれません。

村上作品を粛々と読んでいた私ですが、『ノルウェイの森』を初めて読んだときの衝撃たるや…。

物語の中に完全に取り込まれてしまい、三日間くらい、現実に戻ってこれませんでした(精神的に)。

何が衝撃的だったのか、当時はよくわからなかったのですが、積み上げたジェンガを容赦なく壊される、的な展開にやられたのかもしれない、と今となっては思います。

その当時、浪人生だったので、「これはまずい…。私は本を読むと現実に戻れなくなってしまうらしい。全く勉強が進まないではないか」と大変焦りました。
若く、視野が狭かったので極端なところがあり、「読書禁止」というルールを自分に課してしまいました。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

 
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

 

 

「私が読みたかった小説はこれだ!!」森見作品にたどり着く

さて、18歳で自ら課した「読書禁止令」、なんと20代半ばまでかたくなに守ることになります。

まぁ、読書禁止令を守ったというよりは、学業や仕事などで忙しく、単に余裕がなかった、というだけなのですが。

それでも、通学の電車の中で多少は読めただろうと思うのですが、「本読みたい」と思うたびに「いやいや、私は本を読むと現実のことを遂行できないからダメ」と制しておりました。
今にしてみれば、なんて勿体ないことをしたのだろう、と思います。
若い感性だからこそ、感じられることがたくさんあるというのに!

ようやく読書を再開したのは、社会人になってから。

知人に森見登美彦氏の『夜は短し歩けよ乙女』をオススメされました。

タイトルを聞いただけでは「ふーん」としか思わなかったのですが、書店で見かけたら、カワイイ表紙にビックリ!

内容によらず、本の表紙が好みだと、買ってしまうフシがあります。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 


 読んでみたら、村上作品とはまた別の衝撃が!
「私が読みたかった小説はこれだ!!」
と雷に打たれたような気持ちになりました。

文章がとにかくおもしろい。
一文読むごとに「クスッ」としてしまう。

しかも、読んだ後に「現実に戻れない」という重さもない(重みがあるものはあるもので、別の魅力がありますが)。

この作者の本なら、いくら読んでも生活に支障が出ることもないし、むしろ心が軽くなるぞ!

それ以来、森見作品の虜です。

森見作品の中でも、もちろん好みはあります。
ですが、「私が読みたかった小説はこれだ!!」の衝撃が忘れられず、新作が出る度にそそくさと購入しています。

小説だけでは飽き足らず、普段文芸誌などほとんど読まないのに、森見氏のインタビューが掲載されていると知ると、わざわざ取り寄せてしまうほど。

現在読んでいるのは『熱帯』。
直木賞候補にノミネートされています。

熱帯

熱帯

 

 

直木賞候補にノミネートされるのももう何度目かなので、そろそろとってほしいな、と思います(まぁ、とってもとらなくても、ファンであることは変わりませんが)。

さて、審査の結果を楽しみに待ちたいと思います。

(追記)
第160回直木賞は、真藤順丈さんの『宝島』に決定しました。

森見ファンとしては残念な気持ちもなくはないですが、今後の作品も楽しみにしています。

これも買いました。

総特集 森見登美彦: 作家は机上で冒険する! (文藝別冊)

総特集 森見登美彦: 作家は机上で冒険する! (文藝別冊)

 



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