ししもとの読書ノート2.0

自分らしく生きるために知識をつける

「どんな生き方をしたいか」で目標を設定する |感想『お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短』

なぜかいつも時間がないような気持ちにずっと追われてきたので、時短本が気になっています。

米山彩香『お金と時間の悩みが消えてなくなる最高の時短』KADOKAWA(2018)

お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短

お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短

 

 

 

どんな本?

転職や目標変更を繰り返してきた著者ですが、現在は一日二時間ほど働き、好きなときに海外旅行に行けるようなライフスタイルを送っているとのこと。
そこに至るまでに考えたことや、実行したことが書かれている本です。

具体的手法よりは、考え方や意識の持ち方がメインかなという印象を受けました。

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よかったところ

目標設定は「生き方」レベルで

米山彩香『お金と時間の悩みが消えてなくなる最高の時短』KADOKAWA(2018)p.41


著者は、大学時代は「大きな会社に入る」ことをゴールにしていたそうです。
しかし、いざ就職すると、その時点で完結してしまい、「その会社で何がしたいか」が分からなかったといいます。
さらにその後、転職を繰り返し、弁理士を目指して勉強するのですが不合格、諦めてしまったそうです。

そこでふと「こんなに努力しているのになぜうまくいかないんだろう」と疑問が湧き、「大きなゴール」の設定が間違っていることに気づいたとのこと。

「○○になりたい」をゴールに設定してしまうと、そこで完結し、止まってしまうのですね。

「こんな生き方がしたい」という生き方レベルの「大きなゴール」があってこそ、その下に「(自分の望む生き方をするために)○○がしたい、○○になりたい」という小さなゴールがある、というわけです。

著者の場合は「時間を自由に使えて、好きなときに海外旅行ができる生き方」を大きなゴールに設定し、そのために「どんな仕事のしかたをすればいいのか」を考え、実践していったと。



たしかに「○○になりたい」は、若い人が陥りがちな罠だよなあ、と思いました。
同じ「○○になりたい」でも、その先を見据えている人は大丈夫なのですが。

私自身も身に覚えがあります。

「どういう生き方をしたいか」まで考えたことがなかったですし、そもそも「生き方」という観点で進路を考えてよいのだという発想もなかったです。
親や世間が「よし」とするものでないとダメだと思っていましたから。

でもその結果、自分の望まない生き方をするはめになったわけです。

私の場合は、母からの干渉で長年自分の意志を封じられてきたので、「自分のペースで、自分の気持ちを大事にしながら生きる」ことが何よりも大事といいますか、「大きなゴール」です。

若い頃はそれに気づかず、大きな会社に入ってしまったので、忙しさや人間関係に振り回されてヘトヘトになってしまいました。

今となっては、「もっと自分の気質とか適性をよく考えればよかった」と思うのですが、「親を失望させてはいけない」が優先事項だったので、その時点でのベストだったんですよね(あの家庭に生まれた以上は)。

限界まで頑張ったのにむなしさを感じるという体験のおかげで「大きなゴール」を意識せざるを得なくなったので、これはこれでよかったのでしょう、私にとっては。

本書では、こういった「なんとなく理解はしていたけれど」をうまく言語化しているな、と思いました。


全体的な感想

(私が本を読み過ぎている事情はあると思いますが)他の時短本や時間術などに書かれている内容と一線を画するわけではない、という印象ではありました。

(ただの読書好きが生意気であることは重々承知の上で言います。何も結果出してないじゃん、というのは自分でもわかっています。それでも考察のために言いますが)
印象としては「だいたい知ってた」だったんです。

そこで、思ったのですよ。
「だいたい知ってた」のに、なぜ私はこれといって何の結果も出せていないのか。
著者の言うことを「だいたい知っていた」のなら、著者と同じような結果を出してもおかしくないのに、です。

大きな原因は「私の実践力が足りない(基本的に本を読んで満足するだけ、知識として知っているだけでやらない)」だろうと思いますが。

また、ビジネス書などはエッセンスを詰め込んだものですから、著者の言わんとするところすべてを含んでいるわけではないでしょう。
あるいは著者としては「ふつう」と思っていて省略していることが、他の人にはできないことだったりするのかもしれません。

もしかするとこれが本から学ぶことの限界なのかもしれない、と思いました。
真似したい人がいたら、実際に間近で見ることも大事なのでしょうね。

私は自分のペースを守りたいがあまり、ここ数年はかなり人間関係を絞ってきたのですが、そうすると、「人から学ぶ」という面が弱くなるかもな、と思いました。

もちろん、嫌いな人と無理してつきあう必要はないです。
「どちらかといえば好き」な人であれば、その人のいいところとか、素敵だな、と思うところに注目して、「どうしたらそんなふうにできるんだろう」と考えたり、聞いてみたりすることって、大事なのかもしれませんね。

本書の感想からいったん逸れた……かと思いきや、逸れていませんでした。
似たようなことが書かれていました。

「成功している人に、どうやって成功したのかを聞く」

単純なことですが、これは目標達成における最高の手法です。

米山彩香『お金と時間の悩みが消えてなくなる最高の時短』KADOKAWA(2018)p.52

 

直接会って聞くと、おそらく文章を読むことの何倍も情報が入ってくるのでしょうね(雰囲気、話し方、など全体的に)。
逆に、思っていたのと違う、というケースもあるかもしれませんが。

第一歩としては「真似したい人」というか、「とにかく憧れる人」を見つけることだそうです。

私の元々の意欲が低いのか、年齢を重ねたせいなのか、誰かに「憧れる」という機会が減っていてちょっと切ない今日この頃……。

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おわりに

世間で有名な経営者の本ですと、あまりに自分とかけ離れていたり、考え方が奇抜だったりして、「とても真似できない……」ということもあるかと思います。

本書は若い女性が書いたものですので、身近に感じられる失敗もあり、比較的親しみを持てる印象でした。

どの本でもそうですが、「ヒント」が書かれているだけであって、自分で実践しないと何も進まないのですよね(自戒を込めて)。