ダラダラはうつる
私の母は、万年床あるいはゴミの上に寝転んで、ずっとテレビを観ているような人だったんですけれども。
高校生のはじめ頃まで、母と同室だったので、その姿を見る度に、脳に「無気力のモヤ」がかかるような気がしていました。
「何をしてもどうせ無駄だ」みたいな、プチ絶望感といいますか。
これは、母の無気力がうつっていたのだと思います。
どんなに「この人のやり方はひどい」と思っていても、脳は勝手にその人の動作を学び、自分とそうしようとしてしまうのです。
引用元:菅原洋平『すぐやる! 「行動力」を高める”科学的な”方法』(文響社・2016)P.80
いわゆる「ものまね神経」ことミラーニューロンの働きですね。
ミラーニューロンのおかげで、人の気持ちを感じ取ったり、共感したりできるので、大事な神経ではあるんですが。
会社などでも、「やる気のない人」が多いと、職場全体がやる気のないムードになるものらしいです。
ミラーニューロンは、神経の無意識的、自動的な活動なので、その集団に染まりたくなくても、そこに所属し、その様子を目にする限りはやめることはできません。神経活動は、あなたが真似をしたい相手でも真似したくない相手でも、同じように働いてしまうのです。
引用元:菅原洋平『すぐやる! 「行動力」を高める”科学的な”方法』(文響社・2016)P.88
ポジティブな言い方だと「馴染む」なのかもしれませんけど。
それがあるからこそ、いい意味でも悪い意味でも、組織の中で適応というか、やっていけるようになるんだとは思いますが。
広告
ダラダラしている人が目に入らないようにする
上で引用したように、「意識していなくてもうつる」ので、解決策としては「真似したくない人をなるべく視界に入れない」ということになります。
職場の場合は、可能であれば、席替えをお願いするとか。
また、ついうっかり「その人に注目してしまっている」場合もあるので、こまめに席を立つなどして、意識的に「見ない」とか。
その代わり、真似したい人を脳に見せる。
同じ方向を向き、横並びになると真似しやすいらしいです。
心地よいと感じる人と出会ったら、その人のしぐさを脳に真似させること。それが「すぐやる人」になるための近道となるでしょう。
引用元:菅原洋平『すぐやる! 「行動力」を高める”科学的な”方法』(文響社・2016)P.97
とはいえ、これも限界がありますよね。
かつての私のように、同室の母親がダラダラの達人だと、逃げ場がありませんから(外出も管理されていたので自由にできなかった)。
となると、「私はこうはならないぞ」と違う姿勢をとるのが唯一の解のようです。
このときはミラーニューロンの働きが抑制されるらしいです。
私の例でいえば、ダラダラ母を見ても、自分はシャキッと背筋を伸ばす、とか、ストレッチをする、とかだったのですかね。
そうはいうても、ほんとうに「無気力の霧」が脳に降ってくる感じというか、脳の動きが遅くなる感じなので、それをふり払うのはけっこう難儀だった記憶がありますね。
「つきあう人は大事」とよく言いますが、無意識に真似してしまうのだから、本当にその通りですよね。
「この人みたいになりたい!」そんな人をたくさん見つけて、関係を深めていくのが、人生をよきものにするには大事なんですね。
参考文献
広告