ししもとの読書ノート2.0

自分らしく生きるために知識をつける

「書く」とは「自分の本心に耳を傾けること」でもある |感想『人生は「書くだけ」で動き出す』

数年前からライフログノートをつけています。

といっても仰々しいものではなく、どこにでも売っているA6サイズのノートに、起きた時間とか食べたものとか、出来事を時系列に記録する程度のものです。そのついでに、何か思いついたことや考えたこと、もやもやしたことなどあれば、追加で綴ります。忘れてはいけない用事とか、買うものなども。

自分のノートのつけ方はある程度確立したというのに、いや、したからこそ、さらなるバージョンアップをのぞめるアイディアはなかろうかと、ノート術や「書く」に関する本は定期的に読みたくなります。

というわけで、最近読んだ「書く」にまつわる本の感想を。

潮凪洋介『人生は「書くだけ」で動きだす』飛鳥新社(2014)

人生は「書くだけ」で動き出す

人生は「書くだけ」で動き出す

 

 

どんな本?

著者は、文章を読むのも書くのも苦手だったそうですが、「書くこと」を習慣にした結果、人生が開かれていく経験をしたといいます。
文章が苦手だったのに、今ではライターとして生計を立てるほどだそうで。

なお、本書でいう「書く」とは、本質的には「本当の自分の心に耳を傾ける」ということ。
本当の自分と向き合うことが目的なので、媒体はノートでもブログでもSNSでもOK(本書ではブログやSNSをおすすめされていました)。

文章が苦手な人でも、「書くこと」を習慣づけられるよう、考え方や実践のコツなどが書かれた本です。

基本的な姿勢は

私がやったことは心の衝動を文字にする。そして、時には誰かに見てもらう。ただそれだけです。

潮凪洋介『人生は「書くだけ」で動きだす』p.28

 
とのこと。
ただし、誰かに見せると思うと本心が書きづらくなる、という場合は、わざわざ公開しなくてもよいかな、と個人的には思います。

私自身も、ライフログノート自体は誰にも見せたことがありません。
しかし、こうしてブログを書いてもいますから、誰かに見てもらうことの良さもよく知っています。

なので、書いたことのうち、どの部分を見てもらうか、取捨選択していけばいいのかな、と思いました。


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書くことで偽りなき自分を知る

自分の気持ちを表現するのが苦手な人は、努力の割には成果や幸福感を得られない傾向が強い

潮凪洋介『人生は「書くだけ」で動きだす』p.29 

 

これは私自身にも経験がありまして。
かつての私は、自分の気持ちなんて表現してはいけないものだと思っていました。
「自分の気持ちを表現=わがまま」
だと思いこんでいました。

もとを辿れば、自分の意志を表明すると「まったく、あんたはワガママなんだから(怒)」と母に言われてきたのが原因だと思います。

しかし、大人になって改めて考えてみると、自分の気持ちを表現すること自体がわがままなのではなくて、「自分の主張を他者に押しつけたり、無理強いすることがわがまま」なのではないか、と思います。

母はそのあたりの境界が理解できておらず、私が意志を持てばそれすなわち「わがまま」と裁いたため、私は自分の気持ちを表現できなくなっていきました。

すると、人生が驚くほどうまくいきません。
自分の選びたいものを素直に選ぶことができなくなってくるからです。

たとえば進路。
自分の選択したい道があったとしても、それを冷静に(親や先生を含めた)周囲に説明できないのです。説明しても、どうせ反対されるのだろう、という諦めがあったせいもあると思います(サーカスの象、的な)。
「これを選んでおけば誰も文句を言わないだろう」と希望してもいない道を選び続けました。けれど、その道で後悔したり、責任をとるのは自分でした。

人間関係もしかり。
自分を表現しないと、こちらの嗜好が相手に伝わらないからです。

以前の職場に、山登りやらキャンプやらBBQといったアウトドア系のイベントが好きな方がおられました。
私は体力を使うことはあまり得意でないので、誘われると憂鬱になっていました。
断るのが億劫(期待に応えられない=嫌われると思いこんでいた)で「なんで私が嫌いなことにばかり声をかけてくるのだろう」とむしろうらめしくさえ思っていました(反省)。
が、冷静に振り返ると自業自得でした。
私自身が何が好きか嫌いか、表現していなかったのですから。
先方はよかれと思って、あるいは気を遣って、にすぎなかったのです。

ただひとこと「私はアウトドア関係のイベントはあまり得意ではないから、不参加にさせてもらいますね。他に機会があったらお願いしますね」とカラッと最初に伝えればよかっただけなのです。
あるいは、普段の会話で、それとなく話しておけばよかったのです。

しかし、自分のことを語るのはよくないと思っていました、「わがまま」だから。
かといって気持ちよく相手に合わせられるほどの器でもなく。
今思えば、先方も私の言動がチグハグで戸惑ったのではないかと思います。


少し逸れてしまいましたが、私の経験からお伝えしたいことは、自分の本心を知ること、そして、それを表現することもまた大事、ということです。自分のためにも、相手のためにも。

しかし、自分の気持ちを抑圧しすぎていると、何が好きで何が嫌いかすらもよくわからなくなってくるので、どうにもこうにも動けない、というときもありますよね。

どうやってこの「抑圧しすぎて自分の気持ちが迷子」から抜け出したかというと、私の場合は「書くこと」でした。

頭の中で考え事をすると、「でも」「だって」などの批判的な考えが横行し、考え事が止まってしまいがちでした。
ですが、実際に紙に書き出すと、少し冷静になるのです。
「でも」「だって」が出てきても、その後さらに「いや、ちょっと待てよ」みたいにさらに考えが進んでいきます。
ある意味、考え事をするときの、時短テクニックともいえるかもしれません。

本書でも、書くことを習慣化することによって、考えがまとまりやすくなるので、相手にも伝わりやすくなる、と解説しています。

次の記事につづきます。


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